深夜、虫との格闘
昨夜、寝る直前にハエより大きいくらいの羽虫が視界を横切った。
おれは部屋に虫がいるっていうのが嫌いだ。特に寝ているときに羽音なんかを耳元で鳴らす奴はほんと絶滅しやがれと思うくらい嫌いなので、手っ取り早く死骸にして捨ててから寝ようとしたのだが、まあ例によって、室内の羽虫というものは一度見逃すとなかなか見つからない。草木もない部屋に何の用で来るんだよこいつら。縄張り意識とかないんか。
それでほっといて眠ってしまうには虫のサイズがデカすぎるので、しかたなく死角を作らないように壁を背にして、アリ用の殺虫剤(これしかなかった)を手にして待った。
で、ようやく姿を現したそいつに殺虫剤をぶっ放したわけだが、アリ用だと殺傷力が足りないのか、動きが鈍くなるどころかなぜか噴出口に向かって何度も突進してくる。なんだよそのバイタリティー。
おれの身体にまで突進してくるそいつと格闘するうち、やがてその虫はいなくなったのだが、死骸がみつからない。一応その虫の数倍はある蜘蛛も殺せるくらいには殺虫剤を何度もぶっかけており、もしかすると死んでいるのかもしれないが、死骸を見ないと安心できない。
しかし見つからない。
せめて寝ている回りで飛んでくれるなと、廊下に続くドアを全開にして眠ったのだが、それは敗北宣言とも同義だった。
で、朝になって思ったのが、「水落ち」で安心できる悪役ってやっぱり胆力がすげえなあと。おれなんかは特に害でもない虫に対してもこれだもん。
そして翌朝、おれはアリ用以外の殺虫剤をアマゾンで探すのでした。